聖書を学ぶ方法はいくつかあります。その中でおそらく最も始めやすい方法は、紙媒体としての聖書を読むことです。最近では電子書籍での聖書の取り扱いも増えてきましたので、その方が手軽に感じる方も多いことだと思います。電子書籍はどこででも読めるという携帯性のメリットが大きいように思います。紙の聖書ですと、重たいのでなかなかそうもいきません。
その一方で、聖書を学ぶためにとても役に立つ機能が紙の聖書にはあります。それは「脚注」です。近年出版された『新改訳2017』や『聖書協会共同訳』では、聖書本文の下に脚注として、関連箇所や別訳など、読者の理解を深める工夫がなされています。それを使うことで、わからない言葉や他の出来事との関連を読者自身が自分で調べることができるようになっています。電子書籍版ですと、Amazonの「Kindle」で取り扱われている『新改訳2017』では「注付き」になっています。しかし、残念ながら、紙の聖書に収録されているものの半分以下の極めて限定的な脚注となっています。そう考えると、携帯性などの面においては圧倒的に電子書籍版聖書に軍配が上がりますが、紙の聖書もまだまだ捨てたもんじゃないといったところです。
前置きはさておき、本題の聖書を学ぶツールについてご紹介したいと思います。聖書を学ぶ上での基本は、もちろん聖書を自分の慣れ親しんだ言語で読むということです。その上で、さらに聖書を学ぶために、有益なツールがあります。ツールは活用次第でその効果は何倍にもなりますが、最も中心的な用途は、聖書を原語で読むことです。もちろん、原語の聖書にも紙媒体のものはありますが、辞書なども含めると、結構な量になってしまいます。その点、ツールを使えば、全てがリンクしていますので、利便性の面では非常に優れています。
聖書を原語で学ぶツールは、長期的な視点を考えるならば、選択肢は二つに絞られると私は考えています。もちろん、インターネットを少し検索すれば、簡単に聖書翻訳を比較できたり、原語を調べることができます。ですが、より正確に、そして信頼できる資料を使って学ぶなら、選択肢は限られてきます。その内の有名どころを二つ紹介します。
アコーダンス(accordance)とロゴス(Logos)は、どちらも聖書など様々な本や情報を蓄積するデータベースです。一言で言ってしまえば、自分だけの図書館です。確かに、本を読むだけの機能であれば、他の電子書籍と何も変わらないかもしれませんが、他にも魅力がたくさんあります。例えば、ある言葉を調べる時、その言葉を検索にかければ、自分が持っているすべての本からその言葉と関係している箇所がヒットします。紙の本で、いちいちすべての辞書を調べるのにかかる時間と比べたら比ではありません。または、カーソルを合わせただけで、その言葉の辞典での定義が出てくるということもできます。これらはほんの一例ですが、とにかくこの二つのソフトは「聖書を学ぶ」ということに特化している点で、他の電子書籍サービスとは一線を画しています。
それでは、どちらのソフトがよいのか、という話になりますが、正直なところ、どちらも一長一短です。ただし、日本人読者にとって大きな違いがあるとすれば、日本語訳聖書の取り扱いがあるかどうかという点です。アコーダンスでは日本語訳聖書(新改訳、新共同訳)がありますが、ロゴスではありません。その点では、アコーダンス一択ということになりますが、ロゴスにしかない機能もあり捨て難いです。ちなみに、日本語訳聖書の有無を抜きにしても、どちらのソフトが優れているのか、という疑問は英語圏でも同じようです。(参照:“Accordance vs Logos”)
どちらのソフトも無料版があるので、使用してみて決めるのがよいと思います。あるいはどちらも使うという選択肢もあります。私もどちらも使っていて、目的によって使い分けています。ただし、この場合ですと、ライブラリを2つ持つことになるので、煩わしいこともなきにしもあらずですが。
今後は、アコーダンスとロゴスの使い方なども紹介していけたらと思います。
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