教会における礼拝の時間は、礼拝の回数にもよると思いますが、基本的に午前中の10時から12時までが一般的であるように思われます。また、日曜日は多くの人にとって、一週間のうちに貴重な休日であるという場合も多いかと思います。その場合、日曜日の過ごし方は日々の生活にもダイレクトに影響してきます。
真面目なクリスチャンであればあるほど、日曜日は礼拝に行かなければならないという責任感から、いつの間にか、礼拝が重荷に感じてしまうこともあります。ですが、礼拝が重荷になってしまうのは、本末転倒です。と言うのも、初代教会が週の初めの日曜日の朝に集まるようになったのは、キリストの復活を喜び祝うためだったからです。そのような歴史的な経緯を考えるなら、やはり現代における礼拝も喜びを持って自発的になされるということが出発点になるように思います。
また、礼拝が重荷になると、礼拝の捉え方にも微妙な違いが生じてきます。例えば、朝一番に礼拝に参加することで、その日の「タスク」を終え、後の時間は「自由」だというように、礼拝を早めに終わらせて、残りの時間をどう過ごすのか、というマインドを持つようになるということです。もちろん、そのように考えることが一概に悪いと言いたいわけではありませんが、そのような礼拝生活が本当に喜びなのか、と言えば、疑問が浮かびます。
そこで、礼拝の時間について、再考することが重要ではないかと思います。その上で、前提となることをいくつか考えてみます。
まず、礼拝というのはタスクではありません。守らなければならないものではありません。その原動力は、復活の主を自発的に喜ぶという思いです。
また、礼拝が持たれる日曜日を安息日として捉えるということは、いわゆる「働く」ことの禁止ではありません。日曜日は、やってはいけないことの禁止リストがある窮屈な1日ではないということです。
とはいえ、もちろん、主の日に主を礼拝することには大きな意味があります。喧騒の日々から距離を置き、神の前に静まることで、この世の価値観から神の価値観へと改めて思いを向けることができます。何より、神によって、神と共に生かされていることの喜びを再確認することができます。
このようなことを踏まえた時に、やはり日曜日の過ごし方の根底には、主から与えられた1日を喜び、楽しむというマインドがあることが望ましいように思います。たとえば、神によって造られた自然を楽しむようなハイキングや山登り、公園の散策など、のんびり自然を満喫することも安息日には相応しいことのように思われます。あるいは、スポーツ観戦をすることも、よいのではないでしょうか。文化や芸術に触れることも素晴らしいことです。このような神によって造られたこの世界を楽しむことを通して、安息日を味わうという視点は、現代のキリスト教会にはどこまで見られるでしょうか。日曜日に出かけることは、むしろ不信仰と思われるでしょうか。
その上で、礼拝の時間を柔軟に考えていくことも必要ではないかと、個人的には思います。
たとえば、みんなで自然を満喫した後に、夕礼拝を持つ。あるいは、朝はゆっくり過ごし、何人かでランチの交わりを楽しんだ後、午後の礼拝を持つ。
礼拝は朝であるべきだと考えるのではなくて、礼拝を中心に据えつつも、全体の大枠としては、主の造られた1日を歓び楽しむという視点で、礼拝の時間についても考えたらよいのではないかと思います。
確かに、ある人にとっては、このような提案は「妥協」のように思われるかもしれません。しかし、礼拝はこうあるべきだという考えが、礼拝者から喜びを奪ってしまうなら、それでは意味がないと思うのです。
もちろん、そもそも日曜日はそんなに暇ではないという方も大勢おられます。忙しい中、何とか時間を確保して、礼拝に出席されている方もおられます。そのような方々に、日曜日をのんびり過ごしましょうと乱暴な提案をしたいわけではありません。
子どもも大人も、みんなが「忙しすぎる」と言われる現代において、礼拝が喜びとなるために、何かできることがあるとすれば、その一つは礼拝の時間を柔軟に考えることだと思います。礼拝がしなければならない「タスク」となるのではなく、喜び溢れる時間となるために、日曜日をどのように過ごすのか。その大原則のためなら、礼拝の時間は今よりもっと柔軟に考えてよいと思うのです。
しかし、私自身としては、伝統的な礼拝スタイル、時間や形式などを批判したいという思いは全くありません。その礼拝が自発的な思いでなされるものであるならば、素晴らしいと思います。
兎にも角にも、現在の日本のキリスト教会を見て思うのは、礼拝を守らなければならないという思いから、窮屈感や閉塞感が漂っているように感じます。ですが、本来クリスチャンにとっての日曜日というのは、喜びの日であるはずです。そのために何ができるのか、何ならできるのか。その一つは礼拝の時間を柔軟に考えることではないかと思います。