ノアの系図は次のとおりである。ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。

創世記6章9節(口語訳聖書)

創世記6:9は、大洪水の直前の世界状況の中でノアについて述べています。「その時代の人々の中で」という表現は、当時の世の堕落の深さを示すものです。同章の続く記事から、人類が神に背き、世界が暴力と腐敗に満ちていたことがわかります(6:11-12)。そうした圧倒的な悪の状況下において、ノアが「正しい人」であり「全き人」であったということは、彼が周囲と比較しての相対的な善良さではなく、神の基準に照らした本質的な義を生きていたことを意味しています。

「ノアは神とともに歩んだ」という記述は、信仰の本質を端的に表しています。これはエノクについても用いられた表現であり(5:24)、単なる行動の正しさではなく、神との絶え間ない交わりを指しています。周囲の価値観や行動様式がどれほど崩壊していても、ノアは神の基準を自らの人生の揺るぎない軸としていました。この日々の歩みの蓄積が、やがて「箱舟を作る」という多難な使命を引き受ける際の強靭な土台となるのです。

私たちが信仰をもって生きようとするとき、周囲の環境がいつも味方になってくれるとは限りません。時代や場所によっては、神の基準と世の基準が大きく乖離し、強い逆風にさらされることもあります。ノアの証しが私たちに問いかけているのは、周囲の腐敗や同調圧力の中で、なお「神とともに歩む」ことを選べるかということです。

今日、私たちはそれぞれの置かれた環境の中で、どのように神との歩みを保ち続けることができるでしょうか。