今回はヘブル語の入門書の紹介です。2022年2月末に出版された『超入門 ヘブル語のススメ—聖書を原語で読もう』(いのちのことば社)です。著者は城倉啓先生で、これまでご自身のヘブル語クラスで教えてこられたものを一冊にまとめられたそうです。
日本語で書かれたヘブル語の文法書はいくつかありますが、本書の特徴はなんといっても(タイトルにも「超入門」とありますように)とてもわかりやすいという点に尽きます。わかりやすいというのは、労力がかからないということではなくて、「ヘブル語」という言語の全体像が見える、体系的に学べるという点でとてもわかりやすいです。本書はヘブル語の文法を網羅しているわけではありません。ですが、ざっくりと全体像を掴むことが、ヘブル語という難解な言語に親しむためには大切だというわけです。このような学びは、今後の学びの上で土台となります。
特に言語学習をする上で大切になってくるのは「順序」です。やる気はあってもいきなり難しいところから始めてしまうのは挫折の原因になります。その点、本書は「簡単な」ところから学びが始まります。これなら自分でもできるかなと思わせてくれるような、学ぶ者を「褒める」スタイルはとても読みやすく続けやすいものだと感じました。
硬い文法書が多い中で、ユーモアたっぷりの点も魅力の一つです。しっかり学ぶ気がなくても、何気なく読んでみるだけで興味が湧いてくるような展開になっています。
私がヘブル語を学び始めた時は、文法用語の日本語訳が本によって違うことが、学び難さのネックになっていました(「ヘブル」という言葉一つを取ってみても、「ヘブル」「ヒブル」「ヘブライ」など様々な訳語が当てられています)。このような読みやすい入門書が出ることで、さらには普及することで、ヘブル語文法に関する訳語が統一されていったら、いくつかの文法書を読み比べる時に、読みやすくなるのかなと思います。
とりあえず「原語」に触れてみたいという方にはうってつけの本ですので、ぜひ一度手に取って読んでいただけたらと思います。なかなか書店には置かれていないかもしれませんが、アマゾンの商品イメージから数ページ読めますので見てみてください。
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