聖書学者ポーラ・グッダーが、教会暦のアドベント期間に「待つ」というテーマを考えるために書いた書である。著者自身が冒頭で断っているとおり、詳細な釈義書でも実践的ガイドブックでもなく、聖書から着想を得た考察を通して読者に問いを投げかけることを目的としている。

本書の核心は、待つことを受動的な忍耐ではなく、能動的な営みとして読み直すところにある。著者は待つことを「安易な答えに急がず、自分だけではなく周囲のすべての人の都合を視野に入れた、異なる在り方への招き」として位置づける。本論はアブラハムとサラ、預言者たち、洗礼者ヨハネ、マリアという四つの聖書的人物像を取り上げ、彼ら彼女らが何をどう待ったのかを辿る。原著にはなかった節番号が訳者の判断で付され、24節の構成はアドベント・カレンダーのように一日一節読み進められる形になっている。

ただし、著者自身が明示するとおり、本書は釈義の精密さや実践指南の具体性を意図していない。読者は「待つ」ことの意味を確定的に知るのではなく、むしろ問いの中にとどまるよう促される。これは構成の欠陥というよりも、本書自身が「待つ」というテーマを自らの記述形式で体現しようとした帰結と読める。

楽しみを先取りする季節の消費が常態化したクリスマス文化のなかで、本書はアドベント本来の時間性を取り戻すための黙想集として読むことができる。釈義書ではなく、教会暦に沿った霊的考察の書である。アドベント期間中に毎日一節ずつ読み進めるという使い方が、もっとも著者の意図に沿う形だろう。