今回は、より詳細な研究のために必須のガイド機能(Guides)についてご紹介します。

ガイド機能はLogosの中核と言ってよい仕組みです。いろいろありますが、本記事ではよく使われる4つ(Passage Guide、Exegetical Guide、Bible Word Study、Expository Sermon)を概観します。個別のガイドの詳細は次回以降に譲り、今回はそれぞれが何のためにあるのか、整理したいと思います。

ガイド機能とは

そもそも「ガイド」とは、Logosの中でどういう位置づけの機能なのでしょうか。

ガイドは、特定の聖書箇所や単語、テーマを入力すると、ライブラリ全体から関連情報を自動で集めてレポート形式で提示してくれる機能群のことです。ファクトブックも広い意味ではガイドの一種ですが、ファクトブックが「事典の項目」を中心に据えるのに対し、ガイドは「研究の目的」ごとに最適化されています。

たとえば、ある聖書箇所について説教を準備したいのか、それとも原語の文法を確認したいのか、あるいは特定の語の意味を掘り下げたいのかといった具合に、目的によって必要な情報の種類は異なります。ガイドはこの目的別の「研究の型」を、異なるレポートとして用意する便利な機能です。

① パッセージガイド――聖書箇所への総合的アプローチ

パッセージガイド(Passage Guide)は、ガイド機能の中で最も使用頻度が高いと思われる一つです。聖書箇所を入力すると、その箇所に関する次のような情報が一画面に集約されます。

  • 注解書からの該当箇所解説(所有しているすべての注解書から横断的に)
  • 相互参照(クロスリファレンス)
  • 関連するテーマやモチーフ
  • メディア(地図、図解、年表、画像など)
  • ジャンルや文学的特徴
  • 過去にこの箇所で書いた説教ノート(あれば)

入力した聖書箇所をめぐる「使える情報」が一望できる、というのがパッセージガイドの本質です。説教準備の最初の一手として、まずここから始める人は少なくないでしょう。

項目はこんなにあります↓

例えば、ローマ5章で検索すると

② エクセジェティカルガイド――原語と文法の世界へ

エクセジェティカルガイド(Exegetical Guide)は、同じ聖書箇所を、原語(ギリシア語・ヘブル語)の視点から分析するためのガイドです。

ここで提示される情報は、よりテクニカルになります。

  • 原語本文(ギリシア語・ヘブル語)の表示
  • テキスト批評上の異読(写本によって異なる読み方)
  • 各単語の品詞・語形変化など
  • 語彙ごとの辞書情報へのリンク
  • 文法書の該当箇所への参照

同じ「ローマ書5章1節」を入力しても、パッセージガイドが、その箇所をめぐる神学的議論や注解をまとめてくれるのに対し、エクセジェティカルガイドは「この箇所の本文そのもの、その文法構造、その単語の働き」をまとめてくれます。

原語をすらすら読める方ばかりではないでしょう。例に漏れず私自身も、神学校で学んだ原語の知識を保ち続けるには日々の鍛錬が必要だと痛感しています。それでもエクセジェティカルガイドは、原語に「触れる」ことを助けてくれます。文法書を引く時間がない日でも、品詞や時制の情報がワンクリックで確認できるだけで、釈義の深さは確実に変わります。

③ バイブルワードスタディ――1つの単語をより深く

バイブルワードスタディ(Bible Word Study)は、ガイドの中でもっとも焦点が絞られています。原語の単語1つを入力すると、その語に関する情報を集中的に集めてくれます。

  • 各種レキシコン(聖書原語辞典)からの定義
  • 聖書全体での用例分布(どの書に何回使用されているか)
  • 各箇所でその語にどう訳語が当てられているか
  • 共起語(一緒に使われる傾向の強い語)
  • 語源・語族の情報

たとえばヨハネによる福音書1章1節の「ロゴス(λόγος)」を選べば、この一語をめぐって新約聖書全体・七十人訳ギリシア語旧約・古典ギリシア語文献にまたがる用例が、ビジュアル的にも一画面に開かれます。

ただし注意したいのは、語の意味は常に「文脈」によって決まるという基本原則です。バイブルワードスタディは強力なツールですが、ある単語の聖書全体での用例を集めただけで、目の前の箇所での意味が確定するわけではありません。集めた情報をどう読み解くかは、結局のところ釈義者の判断に委ねられます。ツールが代わりに考えてくれるわけではない、という当たり前のことを忘れずにおきたいところです。

④ サーモンスターターガイド――説教準備に特化した入り口

サーモンスターターガイド(Sermon Starter Guide)は、その名のとおり説教準備に特化したガイドです。聖書箇所やテーマを入力すると、次のような情報が提示されます。

  • そのテーマや箇所に関する説教例
  • アウトラインの参考例
  • 関連する例話・エピソード
  • 平行箇所(Parallel Passsages)
  • 関連する賛美歌や画像メディア

例えば、ローマ5:1-11で検索すると…

ここで一つ正直に申し上げておきたいのは、サーモンスターターガイドは英語圏の説教文化を強く反映している、ということです。参照される説教例も例話も、基本的に英語圏のものです。日本の教会で語る説教にそのまま使えるかというと、文化的な距離を感じる場面も多いように思われます。

それでも、「この箇所からどんな切り口で語ることができるのか」という発想の幅を広げるには、有用な刺激となることもあるでしょう。自分とは異なる文脈で語られた説教の構造に触れることは、自分の説教を相対化する貴重な機会でもあります。

4つのガイドをどう使い分けるか

4つを並べてみると、それぞれの守備範囲がはっきりしてきます。

ガイド入力するもの主な目的
パッセージガイド聖書箇所注解・参照・テーマの総合
エクセジェティカルガイド聖書箇所原語・文法・テキスト批評
バイブルワードスタディ単語語の意味・用例
サーモンスターターガイド箇所・テーマ説教例・アウトライン

実際のバイブルスタディでは、これらを単独で使うというよりも、組み合わせて使うことが多くなります。ある箇所を扱うとき、まずパッセージガイドで全体像をつかみ、エクセジェティカルガイドで原語を確認し、気になった単語をバイブルワードスタディで掘り下げる、といった流れです。

Logosの設計の妙は、ガイド同士が緩やかに連携している点にあります。例えば、エクセジェティカルガイドで表示された単語をクリックすれば、そのままバイブルワードスタディへ飛べますし、パッセージガイドからファクトブックへも自然に移行できます。ですので、そういう意味では、厳密には個別に使うわけではなくて、合わせ技で使うといった感じになります。

また、英語であることが懸念される方もおられるかと思いますが、ガイド機能においては英語の壁の感じ方が機能ごとに違うように思います。とりわけ、エクセジェティカルガイドとバイブルワードスタディは、扱う対象が原語そのもの(ギリシア語・ヘブル語)なので、英語環境であっても比較的影響は小さいです。原語さえ照合できれば、邦訳聖書で読んでいる箇所の研究にもそのまま活かせます。

一方で、パッセージガイドが集めてくる注解書はほぼすべて英語、サーモンスターターガイドの説教例も英語圏のものです。ここでは英語との格闘が避けられません。ただ、今では翻訳ツールも常設されていますので、そこまで苦には感じないのではと思います。

ぼくどくメモ

初めてガイド機能を使ったとき、情報の量に圧倒されました。一つの聖書箇所を入力するだけで、何冊もの注解書が一斉に開かれ、原語の解析が並び、相互参照のリストが列挙されます。これだけの情報を前に「すべてに目を通さなければ」と思うと、かえって聖書から遠ざかってしまいそうになります。

ツールが多くを語ってくれる時代には、「読まないこと」を選ぶ勇気もまた必要なのかもしれません。御言葉そのものに静かに耳を傾ける時間を、ガイドの便利さによって奪われないようにしたいと思います。情報を集めることと、御言葉に聴くことは、似ているようでいて別のことなのではないでしょうか。